腰痛、背中の痛み、首の痛み、手足の関節の痛みを総称して関節の痛みといいます。
関節の痛みのもっともありふれた原因は正常な関節に本来備わった弾力の異常です。
関節の運動は、自動運動、たわみ、遊びの3段階があります。
自動運動に異常があれば筋肉の損傷を疑います。その際に痛みがあって力が入らないケースは、大きな筋肉の損傷です。
反対に痛みはあるものの力が入るケースは、小さな筋肉の損傷なのです。
一方で痛みがないのに力が入らないケースは、神経の損傷です。 当たり前のことですがけがは患部の安静固定が大切です。 それと同時に正常な部位を動かす事が体全体の健康維持には必要不可欠なのです。
例えば股関節の人工関節置換術の手術を受けた患者さんでも、経過が順調であれば車椅子に座っている状態はわずか一日です。
具体的な症例をもとに説明します。
25年前に交通事故で右股関節の脱臼と寛骨の骨折で救急搬送され手術を受けた患者さん(66歳男性)が再来院されました。
当時は手術後の拘縮を改善する事を希望して来院されたのです。
その頃は現在行っている関節ニュートラル整体ではなくモーションパルペーション&マニュピュレーション(以下MPと省略します)を行っていました。 ちなみにMP(動的触診法と手技療法)は、現在でもカイロプラクティックの最も有効な技術です。
当時PNF(固有受容性神経筋促通手技)を独学し、MPと融合した技術を行っていました。
患者さんは当時「病院のリハビリは非常に痛い。及川治療院の治療もリハビリも全くいたくないのに凄く効果があるのが不思議でしょうがない」と毎回言っていました。
その患者さんが経年劣化で靴下がはけない状態になって再来院されたのです。
現在では全身にある約206個の骨から構成される約200個の関節を8方向に点検して調整する技術である関節ニュートラル整体が完成されています。
久しぶりに施術を受けてみて手技療法もリハビリテーションもさらにソフトになっていることに患者さんは驚嘆していました。
右股関節以外の関節の動きが格段に楽になったのに本当に驚いたようです。 この患者さんは身長が175センチで体重が90キロ近くある非常にガッチリした体格です。 そしてお仕事は電気の工事です。
「右股関節が曲がらない状態でよく電柱に上る仕事ができましたね」と尋ねると。 「しばらく前から電動の機械で高所の工事はやっているんだよ」とのことでした。
この患者さんの右股関節の状態は、改善可能な拘縮でななく硬直でした。
念のため3回ほど施術しましたが、これは人工関節置換術が必要であることをお伝えしました。
この患者さんは及川治療院がある茨城県牛久市から車で40分かかる河内町にお住いです。
隣町の竜ケ崎市に済生会病院があり、そこに股関節とひざ関節の人工関節置換術の名医がいるので大丈夫だとご説明しました。
ところがこの患者さんは25年前につくば市にある愛和病院での手術とリハビリの体験を引きずっていました。
手術前のリハビリと全身の調整に加え、手術後の全身の調整とリハビリを的確に行うことで、すべての患者さんが全くといってもいいほどつらい思いはしていないのだと丁寧にご説明しました。
結果としてこの患者さんは手術に成功し、術後の経過もよかったので2週間で退院できました。
私のおすすめ通りに退院したその日に来院されました。
手術前に7回、手術後に14回関節ニュートラル整体を受けましたが、経過がとてもよく、前屈して膝を触ることもできなかった状態から、床にタッチできる状態にまで可動域が改善されました。
このような体験をされた患者さんは「及川治療院にもっと早く来るべきだった」と異口同音にお話しされます。
30分継続して歩くことができなくなると、ある日突然100メートル歩けなくなって変形性関節症の末期になるのです。
予防に勝る治療はないのです。
関節ニュートラル整体をマスターした協会員の先生であれば、私と考えを共有しメンテナンス(保守点検)の重要性もわかっています。
したがってこのような体験も皆さん共有しています。
これからセラピストを目指す皆様に私が体験した気の遠くなるような苦労を強いるつもりはありません。
すでに開発された技術を学び血肉にすればよいのです。