全身にどれだけの関節があるのかをご存じでしょうか?

答えは200個。

人体には約206個の骨から構成される約200個の関節が存在します。

関節の可動域を簡単に説明すると次のようになります。

回旋

1、腰椎、左右それぞれ5度(合計10度)

2、胸椎、左右それぞれ30度(合計60度)

3,頸椎、左右それぞれ50度(合計100度)

前後屈

1、腰椎は45対45

2、胸椎は30対40

3、頚椎は70対80

左右側屈

1、腰椎は20対20

2、胸椎は30対30

3、頚椎は15対15

このように数字で表現すると視覚化されにくいのですが、回旋すると腰椎はほとんど可動域はなく、側屈すると胸椎はほとんど動いていないように見えるのです。

関節の動きは次の3段階

1、自動運動

2、たわみ運動

3、遊び運動

この中で最も大切な運動は3の遊び運動です。

自動運動の範囲を超えてたわみを取り除いてわずか1ミリ以下の遊び運動をとらえるようになるためには繰り返しの訓練が必要です。

さらに頸椎の回旋は半分が2番上の1番で行われて、残りの半分がそれぞれの関節で行われているといった実践的な知識を学ぶ必要があります。

それに加えて脊椎は左右非対称で可動域も左右で不揃いなことが普通である現実を知る必要があります。

関節可動域をざっくりと数字で覚えて、現実には骨格模型のような左右対称な体はいないという現実を知る必要があるのです。

私は今から40年近く前に、必要に迫られて米国のナショナル大学やカナダで唯一のカイロプラクティックの大学で解剖実習を体験しました。

そこで実際の人体解剖で驚いたのは、解剖学の本と実際の人間の体の違いでした。

皆さんも現実に人間の頭を触ってみて卵のような頭蓋骨は皆無だという事はわかるはずです。

まさに不揃いな部材を総もちで支えているのが人体の真実なのです。

その当時(現在でもそうかもしれません)信じていた脊椎にあるはずのサブラクセーション(日本語では亜脱臼または副脱臼と訳されました)なるものはどこにも存在しませんでした。

私の考えでは、遊びが失われた関節の状態をそのようなわかりやすいたとえで表現したのではないかと思われます。

私は関節ニュートラル整体のテクニックを網戸に例えて次のように表現しています。

「網戸がレールから外れても何とか動きますね。滑らかに動かすために、レールから外れた網戸をもとのレールに戻しているのです。何度も外れてしまったりすると、網戸を取り換えなければなりませんが、それが人工関節置換術です。できればそうなる前に予防したいものです」

私がこのようにたとえ話で表現するととても分かりやすいと患者さんは喜んでくれます。

私は長年膨大な人数のアジャストメント(インパルス、リコール、ボディードロップに大別されます)を繰り返してきました。

今から26年ほど前に現在のテクニック(関節ニュートラル整体)を考案してからはアジャストメントは不必要になりました。

安全確実な検査法と手技療法とリハビリテーションを皆様に学んでいただきたいと思う次第です。