先週同じ日に来院された2名の患者さんについて書いてみます。
整形外科での診断名は、お二人とも「腰部脊柱管狭窄症」です。
ただしお一人は70歳男性。
もう一人は32歳女性です。
お二人とも前屈が非常に硬く,FFD(前屈指床間距離,前屈して指が床につくかを調べるテストです)はともに脛骨の半分弱(マイナス20センチ以下)という状態でした。
ところが関節ニュートラル整体の手技療法とリハビリテーションを1回受けた後の可動域の改善は明確な差異がありました。
何と70歳の男性は1回で前屈で指がタッチできるレベルに改善されたのです。
それに対し若い女性の方がわずか5センチ改善された程度だったのです。
その理由は男性が週に2回テニスをやっていたからではないかと考えられました。
女性は1年前から新築の家の掃除のお仕事をしていたそうです。
したがって腕の筋肉は使うものの,下半身の筋肉はそれほど鍛えられていなかったのでしょう。
関節ニュートラル整体のベースの一つであるPNF (固有受容性神経筋促通手技)は感覚器を刺激して正常にする技術です。
それは次の3種類。
1、皮膚にある外受容性感覚器。
2、関節にある外受容性感覚器。
3、内臓にある内受容性感覚器。
以上の3種類です。
その中でテニスをしていた男性は2、の筋肉に存在する固有受容性感覚器を十分に刺激されていたのです。
早く動く筋肉(速筋繊維)や、じっくりとそしてゆっくり動く筋肉(遅筋繊維)がまんべんなく刺激されていたのでしょう。
このようにない残された貯蔵エネルギーがたまっていた男性は、いわゆる筋肉の貯金が引き出されたのでしょう。
それに対し年齢的には男性の半分以下であるにもかかわらず、若い女性のほうが下半身の筋肉はまんべんなく使用されていなかったと考えられます。
このように常に論理的に考えることによって、相手の頭の中がわかるようになるのです。
私が主催する関節ニュートラル整体のセミナーは常に考えることができるようなセラピストを育成しています。
関節ニュートラル整体は手技療法とリハビリテーションに加え体を整えることを目的とした筋力トレーニングから構成されています。
そしてこれらの技術をマスターするうえで必要不可欠な知識を並行して教えています。
最新の脳科学の研究に裏打ちされた記憶法を学ぶことができるのです。
本を読んだり様々な人と出会うことでさらに知識は広がります。
そしてはるばる東京以外の県外から旅をすることで様々な感動を体験することになるのです。
インターネットの普及で情報は飛躍的に多くなりました。
しかしながら紙の本を読むことはまだまだ必要なのです。
これからは、技術を体で覚えることと並行して、生涯忘れることがない知識を身に着けるべきです。
確実に言えることは、時代の最先端を行く知識と技術が最短で身に付くということです。
そして何より大切なことは、患者さんのためにもいったん高められた技術レベルを落とさないことです。
私はもうすぐ62歳になります。
はっきりとは覚えていませんが、現在のように読書(ほとんど実用書)を読むようになったのは、おそらく50歳以降でしょう。
しかしながら、不断の努力を継続し続ければ、何歳であっても遅くはないのです。
ここ数年セミナーを参加している方は私の変化に驚いていることでしょう。
それはまさに幕末氏の立役者として知られる勝海舟が人が変わったような変化だったのです。
それまで剣術使いであった勝海舟。
それが1853年のペリーの来航によって鎖国から開国となり、やがて明治維新となった変化がきっかけでした。
今までもそしてこれからも、変化を恐れず技術を革新し続けます。
そのために日本はもとより世界の人類に貢献できるようなセラピストを育成することが必要なのです。