成功するセラピストと失敗するセラピストの違いは何でしょうか?
第一に技術の不足があります。
それではそれ以外の重要な要素は何でしょうか?
私はコミュニケーション能力に尽きると思います。
コミュニケーション能力を向上するためにはやはり様々な本を読むことが最も費用対効果があります。
そして優れたコミュニケーション能力のある人から学ぶことも大切です。
私自身完全に実践しているとは言えませんが、D,カーネギーの名著「人を動かす」を7回読むこともお勧めします。
いずれにしてもトライ&エラーを通じて学ぶ以外にはないのです。
これからセラピストを目指す皆様のご参考になればと思い私の体験を書いてみます。
私は45年前に一流のセラピストを目指して修行することを決断しました。
事前に長生療術の卓越した技術を習得した先生の調整を30回以上受けてとても効果があることを確信しました。
それで生麦と雑色(京浜急行)にある日本で唯一手技療法が学べて国家試験の受験資格が得られる長生学園に入学しました。
その学校の事務長を務められた神宮司先生のご紹介で、カイロプラクティックの権威であった日本カイロプラクティック総連盟(JCA)の山本先生の経営する荻窪の山本カイロプラクティック研究所で6年修行(インターン)させていただきました。
神宮司先生が「長生療術のもとはカイロプラクティックなんだから君はそれを学ぶといいよ」と進めてくださったので、あまり深く考えることなくたまたま決めたのでした。
今から45年前にモーションパルペーション&マニュピュレーション(動的触診法と手技療法)を極めていた先生がいたことを皆さんは信じられますか?
昼間は5時近くまで荻窪の山本先生のもとで働き、夜間は長生学園に通う生活が2年続きました。
前述したように、私は入学前に素晴らしい技術をマスターした先生の治療を受けていました。
残念ながらその先生を超える治療家にそれ以後出会うことはありませんでした。
ところがその先生は長生学園の卒業生ではなく、浪越徳次郎氏の日本指圧学校の卒業生だったのです。
その方が修行したのが長生学園出身のおじさんの治療院だったのです。
そのようなことがあって学校時代は本当に期待外れの毎日でした。
修行時代は、とにかく一日でも早く触診とアジャストメントを極めたいとの一心でした。
インターン時代の後半からJCAに入会させていただきカイロプラクティックの理論や実技を勉強させていただきました。
その時点で私は、モーションパルペーション&マニュピュレーションのテクニックをほぼ極めていたといってもよいでしょう。
ところが当時JCAで学んだのは、その当時としては最新であったかもしれませんが、基本的に形状を整える(リスティングという概念に従う)という学問に全く納得がいきませんでした。
アジャストメントに関しては、私は修行時代の後半の3年間は、平均して1か月に少なくとも200名の患者さんを施術していました。
しかも単なるアジャストメントだけではなく、全身の緩和操作を含めての施術です。
自分自身で最初から最後まで施術を行った患者さんが、仕事以外に7200名(正確には7200回)だったのです。
私の修業時代はデフレの今と違って、インフレですから日本がとても景気が良くげんきだったのです。
とにかく先に実践を体得して後から理論を学んだというのが正直なところなのです。
インターン時代の6年目に米国のイリノイ州にあるナショナルカイロプラクティック大学での研修旅行(解剖実習が中心でした)に参加させていただきました。
そこで私と同じ年の故安藤DCと山根DCと知り合いになりました。
安藤DCの部屋で私がテクニックを披露するとお二人が驚嘆していたことを思い出します。
山根DCが当時最先端と思っていたモーションパルペーション&マニュピュレーション(以下MP)に改良を加え自分のものにしていた人間がいたことを驚いたようでした。
お二人とはそれからも交流が継続し、私が開業した茨城県の牛久市(当時は牛久町)に何度も来ていただいたものでした。
皆様、今から40年前にカイロプラクティックの最も優れた技術であるMPと理学療法の集大成であるPNF(固有受容性神経金促通手技)を極めていた人間が茨城県に存在していたのを信じられますか?
そこからさらに発展させた技術である関節ニュートラル整体を今から25年前に考案していたのです。
私がどれだけ多くの時間とお金をかけて関節ニュートラル整体を完成させたか想像できますでしょうか?
この技術を最短でマスターしようと思えばわずか3か月でできるのです(ただし毎日卓越した技術者の指導を受けることができればの話です)
ところがそれだけでは不十分なのです。
究極のことを言えば、患者さんを救えるのは患者さんの心しかないのです。
関節ニュートラル整体をマスターしたセラピストは、体の修理のプロといえます。
しかしながら人間は最後には死ぬ運命です。
したがって本当に救えるのは患者さんの心しかないのです。
患者さんの心に寄り添って、安心を与える説明ができてこそ、一流のセラピストといえるのです。
心技体が備わってこそ一流のセラピストなのです。