これからの時代を生きるセラピストを目指すならば、手技療法とリハビリテーションのテクニックを完全にマスターし、自在に操ることができなくてはなりません。
手技療法とリハビリテーションは同じ運動療法です。
運動療法は自動運動(リハビリテーション)だけとか、他動運動(手技療法)だけでは不十分なのです。
運動には次の3段階があります。
それは、
1、自動運動。
2、たわみ運動。
3、遊び運動。
以上です。
私が考案した関節ニュートラル整体は、これらの3段階の運動が正常に機能しているか否かを検査して、異常があれば適切に調整できる他に類を見ない運動療法なのです。
関節ニュートラル整体のベースは、
1、カイロプラクティックの最も効果的なテクニックである、モーションパルペーション&マニュピュレーションーション(動的触診法と手技療法)。(以下MPと省略します)
2、理学療法の最高の技術であるPNF(固有受容性神経筋促通手技)。
3、関節の弾力を回復することを目的とした筋力トレーニングの3種類です。
私の臨床経験は44年です。
インターン時代の6年間は、MPを軸にした関節の他動運動のテクニックと筋肉の他動運動のテクニックを徹底的に学びました。
その中で後半の3年間はいわゆるアジャストメント(インパルス、リコイル、ボデイドロップ)の技術をマスターするべくひと月の平均で約200名の患者さん(勤め先の仕事以外の人数です)を見ました。
東京都杉並区の荻窪駅にあった勤め先での土曜日の仕事が終わってから2時間かけて牛久に返り、土日の合計で約40名の患者さんを見ていたのです。
私が修行したのは昭和の時代ですべての商売が非常に活気がありました。
バブル崩壊後20年以上デフレ期である今の時代ではとてもそのように数をこなすことはできなかったことでしょう。
もし私が知識が先行したいわゆる頭でっかちのタイプであったら、関節ニュートラル整体は誕生しなかったでしょう。
現在では情報があふれどうしてもそれに翻弄されがちです。
関節ニュートラル整体をマスターするためにセミナーに参加されるセラピストの大半が皮膚のついた関節をつかむ技術すらありません。
言い換えると技術をマスターする前の、基本ができていない方が大半なのです。
私が現在顧問兼講師を務める東京療術学院の授業で、手技療法とリハビリテーションの基本を徹底的に指導してきました。
10年以上前の東京療術学院はPNF整体の授業が毎週ありました。
ところが授業を受講する生徒がとても多く、集団指導にも限界があるほどでした。
しかしながら、その中からまるでコンクリ―トから生える雑草のように現在では一流となったセラピストが誕生したのです。
緊急事態宣言発令中の現在でも、東京療術学院の授業(基本重視)とセミナー(実践重視)を行っています。
このような経験からいえることは、技術は教わるだけではなく自らできるようになるという気構えが重要だということです。
20年以上セラピストの育成にかかわってきて確実に言えることは、教わるのではなく覚えるということにつきます。
教え方やわかりやすさは飛躍的に向上しましたが、わかるようにすることができても、出来るようにするのはほんの少ししか進歩していないのです。
サッカーでボールを扱うように、止めることと動かすことの基本ができて初めて戦略や戦術ができるのです。
次回は関節ニュートラル整体の技術の内容について書いてみます。