関節の痛みの90パーセントは関節を覆う膜の不具合が原因です。
関節を覆う膜とはどのようなものでしょうか?
それは次の6種類に大別されるのです。
1、皮膚および皮下組織。
2、筋膜。
3、筋肉。
4、血管と神経。
5、靭帯。
6、椎間板や軟骨。
この中で最も関節を動かしたり、動きを制限したりしている組織は筋肉です。
下半身の筋肉や背中の筋肉の拘縮を放置すると、やがて背中や股関節、ひざ関節、足関節の関節炎になるのです。
そして人生の後半を超えると、肩関節周囲炎やひじ関節炎、手関節炎になるのです。
そう考えると患者さんにとって最も大切なことは誰もが関節炎になると考えて予防改善することになるのです。
全身の関節の運動(自動運動、たわみ運動、遊び運動から構成されています)が正常であるか否かを検査して、確実に調整することができるテクニック持ったセラピストに定期的に見てもらうことが重要なのです。
例えばあなた自身が腰痛になったとしましょう。
困ったことに整形外科を受診してレントゲン検査を受けたとしても、腰痛の原因は腰痛自体にある方はほとんどいないのです。
したがって原因を突き止め根本改善を目指すためには、症状が出ている腰椎だけではなく、全身の関節の弾力の検査が必要不可欠なのです。
私の臨床経験は43年になります。
これまで関節の痛みで苦しむ多くの患者さんの体を検査して共通してわかったことがあります。
実は痛みが改善しない患者さんには、共通する部位の関節の拘縮が見られるのです。
それを簡単に説明します。
まずはこぶしを握ります。
次に両方のひざとつま先をぴったりと閉じて前屈してこぶしが床につくかを調べましょう。
この状態で両膝をしっかりと延ばすことができないことがすべての背中の痛み(腰痛、背中の痛み、首の痛み)や股関節、ひざ関節の痛みの原因なのです。
次に同様につま先と両膝をそろえた状態でしっかりと立ちます。
今度はその乗タを保ったままで和式トイレに座る動作をしましょう。
かかとがお尻につかない人は膝の痛み、足関節の痛み、足の裏の痛み、腰痛などになる可能性が高いのです。
厄介なことに、いつその時が来るかは予想できないのです。
ご年配の方が「昔は認知症や、がんの人間はいなかった」と語っているのを聞きます。
大東和戦争の敗北から2年後(1947年)までわが国の男性の平均寿命は50歳に到達したことは一度もなかったのです。
江戸時代までの男性の平均寿命は約30歳でした。
日本だけではなく世界の平均寿命は30歳だったのです。
言い換えると昔はガンや認知症が発症するまで生きれなかっただけなのです。
現在では世界の平均寿命は72歳になりました。
言い換えると腰痛やひざ痛(床に座れなくなったり、ひざが伸びなくなって歩行できなくなります)が重症化するまで生きることができなかったのです。
戦後は日本中の人間が慢性的な栄養失調になったのです。
その当時の人間が現代の飽食の時代を想像できたでしょうか?
日本人は男性も女性も80歳を超えるまで長生きするようになりました。
したがって下半身の筋肉の拘縮を放置し関節炎の重症化を予防しなければなりません。
前後開脚が150度。
横開脚が100度。
左右の回旋(横座りができるか)が50度。
そして開脚、長座、胡坐の状態で前屈して両方のひじが床につくかを調べてみましょう。
また正座してお尻を床に着けた状態から仰向けになることができるかを調べてみましょう。
機械体操の選手の可動域の半分以上の柔軟性があれば関節炎が重症化する確率は低いのです。
全身の関節可動域は数字で表すことができます。
その運動に加え、体重をかけるとたわみや遊びが起きます。
正常な運動(自動運動、たわみ、遊び運動)を数字で表し説明できて初めて一流のセラピストといえるのです。
単に体が硬いといった感情語表現ではなく、論理語(数字)で表現して初めてすべての人間に説明が伝わるのです。
私が考案した関節ニュートラル整体は手技療法とリハビリテーションと筋力トレーニングの進化発展形です。
そのベースは次の3種類です。
1、カイロプラクティックの最も優れたテクニックであるモーションパルペーション&マニュピュレーション(動的触診法と手技療法)。
2、理学療法の最高のテクニックであるPNF(固有受容性神経筋促通手技)。
3、筋力強化だけではなく、体のゆがみを整えることを目的とした筋力トレーニング。
関節ニュートラル整体をマスターするためにはこのような技術をすべてマスターすることが不可欠です。
そのうえで、簡単にまねすることができない究極の技術である関節ニュートラル整体をマスターできるのです。
あなたも最後まであきらめることなく頑張れば、世の中になくてはならないセラピストになれるのです。