9割の関節の痛みの原因は関節被膜の拘縮です。

人間の海馬(短期記憶の中枢)が形成されるのは3歳です。

したがって3歳以前の記憶はありません。

これを幼児期健忘といいます。

肩を回してボキボキと音がする方の大半は腱板断裂です。

その状態の肩関節は、緩いけど痛みがないというレベルです。

この段階で予防的に肩関節を安定させる効果のある3種類のエクササイズをするべきです。

ところが症状が全くないので成長期を迎えて過剰な運動をする時期になって初めて肩の痛みを自覚し、そこから初めて予防体操をすることになるのです。

このように拘縮がひどいケースではなく、可動性が亢進しているケースは、前もって肩関節の支持性を向上させる効果のあるエクササイズをすることがベストなのです。

1、立位での肩関節の45度以内での内転と外転(棘上筋のエクササイズ)を15回2セット。

2、適切な台を用いて、肩関節を90度屈曲しての肩関節の内旋と外旋を15回2セット。

3、仰臥位での肩関節の伸展と屈曲を15回2セット。

3種類のエクササイズは上記のとおりです。

あくまでも筋肉に正しい動作を学習させることが目的ですので、扱う重量は極めて軽いもの(1,2キロ程度)で十分です。

関節の可動域は次の3段階です。

1、自動運動。

2、たわみ運動。

3、遊び運動です。

自分の筋肉で動く運動範囲、そこからさらに負荷をかけて動く運動範囲、限界まで動く1度以内の運動範囲です。

Vサインをしてみましょう。

この運動範囲が自動運動です。

そこからさらに動く範囲がたわみ運動。

限界まで軽く痛みを覚える範囲が遊び運動の範囲です。

痛みがあるケースではそれぞれの運動範囲を急激に超えないように、慎重にエクササイズを行うことが大切です。

野球選手が徐々に遠投の範囲を増やして肩関節を作るように、無理なく運動範囲を増やすようにすれば良いのです。

肩関節は1、肩甲上腕関節と2、肩甲胸郭関節、3、肩鎖関節、4胸鎖関節に分解できます。

この中でも一般に肩のエクササイズは1、の肩甲上腕関節の自動運動の運動範囲を意識することが大切です。 ちなみに、

屈曲は80度、伸展は25度。

外転は110度、内転は10度。

外旋は35度、内旋は100度です。

この運動範囲は上記の2、肩甲胸郭関節や3、肩鎖関節4、胸鎖関節の運動範囲を除いたものです。

8割が回復までに1年を要する、いわゆる五十肩(肩関節周囲炎、頚肩腕症候群といいます)を経験するとわかります。

最長で2年(骨が入れ替わる日数です)最短で3か月(筋肉が入れ替わる日数です)かかるのです。

この中で完治までに2年を要する重症なケースは極めてまれ(全体の10パーセント)です。

完治までに1年以上を要した方は拘縮がひどく、肩関節の屈曲が80度未満になるのです。

80度以上では肩関節の運動が2度に対し、肩甲骨の運動が1度です。

言い換えると160度まではその比率で動き、それ以上では上半身の伸展を伴うのです。

つまり拘縮の状態がひどい重症なケースでは、80度160度、180度の3段階の運動範囲を意識することが必要になるのです。

ざっくり言うと、重症なケースでは運動範囲が半分になると考えて徐々に運動範囲を増やすことが大切なのです。

運動することで改善する硬さを拘縮、改善しない方さを硬直といいます。

硬直のケースは、腱板断裂の再建術や人工関節置換術の専門医に紹介状を書くのが及川治療院のルールなのです。

あくまでも患者さんの利益を第一に考えて行動することが大切なのです。